アマゾンプライム会費が値上げされるそうです。
年1000円の値上げ。
営業戦略から考えると 「いつか値上げするのだろうな~」と思っていました。
アマゾンプライム会員というターゲットは囲いこめたのですから
今度はいかにそこから収益をあげるか という段階なのです。
もともと無料でシェアを伸ばしたアマゾン
日本では後発であったアマゾンですが
「即日配達 無料配送」ということを売りに アマゾン利用者をどんどん増やしていきました。
今まで、「ネットで買うと配送料がかかるから・・」と思って
店舗で購入していた人や
他のネットサイトで購入していた人達が どんどんアマゾンを利用するようになりました。
送料無料なら 店舗で買うのと同じだし
しかもすぐ届くなら 欲しい本がすぐに見つかり24時間いつでも買えるネットショップで
買うようになります。
人間は一度手にした便利さをなかなか手放せない
アマゾンは、ネットショップを利用する客をどんどん取り込んでいきましたし
今までネットで本を買うことがなかった人たちもひきこみました。
だって「便利だから」また「その便利さに対価を払わなくていいから」
人々がアマゾンを利用することが当たり前になる、
つまり「あの本買わなきゃ・・」→「アマゾンサイトを開く」という行動が
習慣づいたとき
アマゾンプライム会員をつくりました。
今まで、誰もが享受できた「翌日配送」を「会員」という形で有料化したのです。
別に翌日届かなくてもいいのだけれど 「注文したらすぐ届く」ことに慣れてしまったお客は
その便利さを手放せなくなっています。
アマゾンを利用する前は 商品到着に2~3日かかることが当たり前で
それに文句も不便さも感じていなかったのに。
今まで無料提供していたものを有料化する仕組み
アマゾンプライム会員をつくることで
アマゾンは 今まで無料提供していたサービスを「会費」という形で有料化することができました。
有料化の方法としては
「翌日配送は別途〇〇円」というようにオプションという形もあるのですが
そこを「会員の特典」という形で有料化したのも上手いな~と思います。
「会員」という選ばれたポジションをみせることによって
人は「今まで無料で提供されていたものが有料になった」ということに気づきにくくなります。
これは客にデメリット(無料から有料へ)を与えることによって
客離れ(売上の減少)というリスクを回避できます。
これからどんどん吸い上げることができる仕組み
会員数が増えるということは 会費収入という固定収入を得ることができます。
会員の中には 全く利用しないものもある一定数でてくるので
その分はまるまる「利益」になります。
幽霊会員がいればいるほど「利益」は高くなるのです。
またその会員は 企業側がイニシアティブをとれている状態
いわば囲い込みが終っている状態です。
その囲いの中に対してオプションサービスを提供して オプション料をとっていくこともできますし
今回のように一方的に値段を上げていくことにより
利益を伸ばしていくこともできます。
プライム会員を作り ある程度の会員数を確保できた時点で
アマゾンはこれからどんどん利益を確保できる仕組みを完成させたといえると思います。
今回のプライム会員会費値上げで プライム会員をやめるという人は
ほとんどいないと思っています。
自動的にクレジットカードから引き落とされている数千円の金額に対して
ナーバスになられている方はほとんどいないからです。
また一度 手にした便利さを人はなかなか手放せません。
(そのサービスを手放しても全く問題ないのだけど 手放すということにブレーキがかかる)
こういう海外企業の数年にわたる営業戦略は
調べてみると面白いです。
※この記事は、投稿日現在の状況、法律等に基づいて書いていますことご了承ください。