お客様のところで従業員さんむけに年末調整の説明会を行うことがあります。
その際に質問をいろいろ受けますがそのうちの一つが
「契約者が親となっている生命保険は年末調整使えますか?」というもの。
生命保険料控除として年末調整は 控除できるものが多ければそれだけ税金が少なくなりますので
従業員さんにすれば使いたいと思っておられる。
契約書が従業員さんご本人でなかったら 年末調整で使えないのでしょうか?
生命保険会社から送ってくる控除証明書をみましょう。
生命保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」というものを
年末調整の添付資料として提出するのですが
それを見ると
「契約者」「受取人」「被保険者」などでてきます。
契約者はだれ?
契約者というのはこの保険を契約した人ですよね。
だいたいは
生命保険の契約者=保険料負担者であるので
生命保険の契約者が控除対象者ということになるのですが
この場合はシンプルで 従業員さん(あなた)自身の名前が契約者となっていますので
悩むことなく年末調整の控除として使えます。
契約者がお父さんである場合
契約者がお父さんで被保険者が従業員さんというような生命保険もあると思います。
これは 保険の契約をしたのはお父さんで
あなたに何かあったときに保険金がでるというものです。
奥さんが契約者や受取人である生命保険もあることでしょう。
こういった契約者が
年末調整で使いたいあなた自身でない保険の場合
あなたの生命保険料控除として使えるのでしょうか?
契約者=生命保険料控除を使える人
ではないので
お父さんが契約者であっても あなたの生命保険料控除として使える可能性があります。
問題はその保険料を誰が払っているのか?
では いったいだれの生命保険料控除となるのでしょうか?
生命保険料控除証明書の中に 名前がでてくれはOKなのでしょうか?
それは違います。
契約者が誰であれ「その保険料を誰が払っている人」が
生命保険料控除として使える人(年末調整の資料をして提出できる人)になります。
所得の高い人からひきましょう!は間違い
よく税理士以外の人間(ファイナンシャルプランナーさんや税金コンサルタントとか)がブログやコラムで
「生命保険料控除はひける上限がありますので 使いきれなかった分はほかの家族で使いましょう」と
書かれているのですが
これは素人判断の間違いです。
生命保険料控除の定義として「支払った」とありますので
その保険料を実際に負担した人しか控除できないのです。
じゃあ自分が払っていることにすればいい
お父さんが契約者であっても自分が保険料を支払っているとすれば
生命保険料控除として使えます。
しかし その場合 別の問題が起こります。
それは保険料を受け取るときです。
あなたの年末調整で所得控除として使うということは
その保険の保険料をあなたが負担していた ということを証明してしまいます。
あなたのお金でかけ続けていた保険を
お父様がもらわれる場合(受取人)下記にもかかれているように課税されることになります。
国税局サイトで回答しています。
(質問)
当社の従業員Aは、妻Bが契約者となっている生命保険の保険料を支払ったとして、
妻B名義の生命保険料控除証明書を添付した保険料控除申告書を提出してきました。
当社で年末調整を行う際に、その保険料を生命保険料控除の対象としてよいでしょうか。
なお、その生命保険の被保険者及び満期保険金の受取人はB、死亡保険金の受取人はAとなっています。
【回答要旨】
Aがその保険料を支払ったことを明らかにした場合は、
生命保険料控除の対象として差し支えありません。
生命保険料控除は、居住者が一定の生命保険契約等に係る保険料又は掛金を支払った場合に総所得金額等から控除することができます(所得税法第76条第1項)。
この生命保険契約等については、その保険金等の受取人の全てがその保険料等の払込みをする者又はその配偶者その他の親族(個人年金保険契約等である場合は、払込みをする者又はその配偶者)でなければなりませんが、
必ずしも払込みをする者が保険契約者である必要はありません(所得税法第76条第5項)。
したがって、保険契約者が保険料を支払うのが通例ですが、契約者の夫であるAが支払ったことを明らかにした場合には、Aの生命保険料控除の対象となります。
なお、保険料を誰が負担するかによって、
将来受け取る保険金の課税関係が異なる(贈与税又は一時所得として課税が生じる)ことに注意が必要です。
税金ってオイシイとこどりができないように 本当にうまく設計されているのです。
そして 専門家(税理士)以外の発信する情報を鵜呑みにすると
後から大変なことになることもありますので留意してください。
※この記事は、投稿日現在の状況、法律等に基づいて書いていますことご了承ください。