亡くなった主人の住民税の請求がきました。亡くなった人の住民税を払わなきゃいけない?

当事務所は相続のご相談 相続税の申告をお受けすることが多いのですが
その際には 何度かお目にかかって色々とお伺いするようにしています。
「それがあったら 税金さがりますよ」ということもありますし
何より 手を尽くした申告書を作成するにはコミニケーションは重要です。
事業の所得税や法人税と違って
相続税申告の納税者は サラリーマンや主婦の方など 申告や税金が身近でない方が多く
「税理士に伝えたら いいかも」という基準がわからない場合が多いので
こちらから細かなことでも積極的にお伺いする方針です。

そういった中で お伺いするのが
「なんか 住民税(市府民税)の納付書が送られてきたんですけど もう死んでいるので
これは間違いですよね?役所に電話しようと思っているのです」といったもの。

これって払わなきゃいけないのでしょうか?

亡くなってしばらくしてから送られてくる住民税納付書

ご遺族のもとに その亡くなられた方の住民税の納付書が送られてくることがあります。
金額もかなりのもだったりします。
しかも内容は「平成30年度住民税」など今現在のものとなっています。
「もうこの世にいないのに なんで税金を払わなきゃいけないいの?」と思われるのは
当然です。
金額も「亡くなった親は年金収入で税金がかかるほど年収なかったのに
この金額?!」と思われるもの。

これって払わなきゃいけないのでしょうか?

年の途中で亡くなっても住民税は払わなければいけない。

残念ながら(?)この住民税は払わなくてはいけません。
なぜなら住民税は後払いだからです。
所得税が源泉徴収などでその年の税金をその年に天引きしていくのに対し
住民税は前年の収入(所得)に対して税金が計算されて
翌年に払う仕組みなのです。

例えば、今年の4月から働き始めた新卒の方は
今は住民税は給与から天引きされていなくて 来年から天引きされることになります。
支払いが一年遅れるのですよね。

こちらにも書いています

あれ?今月の手取り給与が減っている? 6月給与からは住民税がひかれます。

1月2日以前に亡くなった人はかからない

住民税は1月1日に存在していれば前年の住民税を支払うことになります。
よって、平成30年12月30日に亡くなられたとすると
平成30年に対する住民税(平成31年度の住民税という納付書になります)は
納めなくていいことになります。
一方 平成31年1月2日に亡くなられたら
平成30年に対する住民税(平成31年度の住民税という納付書になります)を
納めることになります。
(実際には遺族が支払うことになります)
存命していた年の前年の所得に対する住民税は 納めなければならないということです。

こういうことに損得もないのですが(不謹慎でもありますが)
金額の面からだけいうと 年明けすぐになくなるよりは年末に亡くなった方が
納める住民税額1年分が少なくなるということになります。

年の途中に亡くなっているのに 一年分納めなくてはいけないの?

またこの住民税
「前年の所得」に対してかかっているものですから 何月になくなろうと
月数按分とかはできません。
いつなくなっても 1月2日以降になくなられたのであるならば
年額を納付することになります。

どうして納付書がくるのでしょう?毎月 引かれていた金額より高いけど

亡くなられた方が年金を貰われていた場合、住民税は特別徴収といって
年金から住民税が天引きされて残りの金額が年金支給額として
銀行に入金されます。
この天引き額は年額住民税額を月数按分した金額となっています。
住民税年額を一気にひいてしまったら年金支給額がとても少なくなってしまいますからね。
わかりにくいように(苦笑)ひいているのです。
しかし、例えば4月に亡くなられたら 6月 8月 10月・・・に支給される年金から
天引しようと思っていた住民税をひくところがなくなります。
よって、年金から天引きしきれなかった残額が
納付書に記載されて送られてくるのです。
納付書に記載された支払わなければならない金額は
月額の金額ではなく 残りの金額となりますので「えっ多い」と思ってしまうのです。

払ったからには利用を。ご遺族が納められた住民税は相続税の計算の際に債務になります。

亡くなられた方の住民税は 亡くなられた方が払わなければいけなかったものを
はらわずにあの世にいってしまった・・・というものですので
亡くなられた方の債務となります。
債務は 相続税の計算上ひくことができ 相続税を減らす要因になります。
納付書は残しておいて
相続税の計算の際には債務として必ずひきましょう。

 

※この記事は、投稿日現在の状況、法律等に基づいて書いていますことご了承ください。

 

 

 









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