退職して収入ないのに 住民税を払わなきゃいけないの? 所得税と住民税の違い

1月~4月に退職されて 再就職をされていない方は
住民税(都民税)の納付書が送られてきて「なんだこれ??」となっておられるかも
しれません。
この税金、今は無職で収入ないのに支払わなければいけないのでしょうか?
答えは払わなくてはいけないのです・・・
ではなぜ払わなくてはいけないのか? 所得税との違いは??
など説明していきましょう。

住民税ってなんだ?

そもそも住民税は 住んでいる都道府県や市町村に対して納めるものです。
私たちは、住んでいることにより道路も使っていますし 役所を利用したり
ゴミの回収があったりと サービスを享受しています。
その代金というか 住んでいる地域に納める税金です。つまり地方税。
同じ給与から天引きされている「所得税」という税金は 国に対して納めているもので
「国税」と言われます。

退職して収入なくてもなぜ住民税を払わなくてはいけないか?

それは、住民税の計算が一年遅れでなされるためです。
所得税が「その月の収入」から仮計算した金額を天引き(納める)しているのに対し
住民税は「前年の年収(というか所得)」が確定してから
税金を計算するために 後払いになっています。

所得税が就職して勤務した月から引かれていくのに対し
前職がない場合 住民税は一年間(翌年の5月まで)給与からひかれることはありません。

所得税が「今の状況」を見ているのに対し 住民税は「去年の状況」をみているのですね。
所得税と住民税はずれているのです。

平成29年中は給与年収500万くらいあったけど 平成30年3月で退職して
今は無職です。という方も 平成29年の給与年収500万に対する住民税を平成30年6月以降に
支払うことになるのです。
「今 無職なので払えません」といっても免除してもらえるわけではありません。

平成30年度の住民税というけど 実際は平成29年のもの

ややこしいのが 今年納めていく住民税は「平成30年の住民税」と言われます。
しかし 上記に書いたように住民税は「後払い」ですから
内容は「平成29年の収入、所得をもとに計算した年間の税金」
「平成29年の収入、所得に対する税金」ですから
実際には平成29年の税金なのです。

亡くなった人にも課税されてしまう。

住民税は「後払い」形式ですから お亡くなりになられた方にも納付書がおくられてきます。
住民税はその年の1月1日に住所地がある市町村から課税されますので
前年に所得があり 1月1日の時点でご存命であれば
今現在亡くなられていても 住民税の納付が必要ということになります。
では 年内に亡くなられた場合の翌年はどうなるのでしょうか?
例えば平成29年10月5日に亡くなられた場合は
平成28年の所得に対する住民税(平成29年6月頃納付書がきているもの)については
全額支払ってしまわなければなりません。
しかし、平成29年1月1日~平成29年10月5日までに稼いだ所得に対する住民税は
平成30年1月1日の時点でご存命でないために(日本国内に住所地がない)
平成30年度の住民税はかからない(課税されない)
つまり平成29年1月1日~平成29年10月5日までに稼いだ所得に対する
住民税は払わなくていいことになります。

亡くなるならたくさん稼いだ年の12月中に亡くなるのが得?

となると
一番年収が高い年に冬のボーナスもらってから12月中に亡くなれば
一年分の住民税が得(?)するということでしょうか。
1月2日に亡くなったら損(?)
まぁ こういうのは損得ではないですが・・・

ここ数年、
各市町村は「特別徴収」といって 給与を払う事業者(会社)に毎月の給与から
住民税を天引きさせるよう強固に進めています。
(各市町村は請求事務や徴収事務が大幅に削減となり 楽になりますからね)

個人的には
所得税が 「その年に対する税金をその年に払う」と一年で完結させるのに対し
住民税は 「前年の税金を翌年に払う」という一年後払いでありますから
税金の計算対象年度が違います。
それを所得税と同じように 当年から控除するのはかなり無理があるのではないかと

思っています。
働き方改革で これまでのように「サラリーマンは昨年の収入を下回ることはない」という
時代でもなくなっていきます。
となると対象年度がずれる税金を源泉徴収という枠組みの中で組み入れていくのは
現場である企業や事業主に負担がかかりすぎると思います。
※この記事は、投稿日現在の状況、法律等に基づいて書いていますことご了承ください。

 

 









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