平成27年1月から、相続税の基礎控除の改正がなされ(増税)相続税のかかる家庭が増えたといわれています。ちゃんと“税金”について理解しておかないと思わぬ落とし穴があるかもしれませんよ。
今回は、税金の専門家である税理士の筆者が、
夫婦のお金のやりとりと相続税について、注意しておいたほうがいいことを説明します。
■相続税のかかるもの
相続税は、亡くなった方が残した財産(遺産)についてかかる税金です。
遺産そのままに税金がかかるのではなく、遺産から基礎控除という税金のかからない金額を引いて
残りに対して税金の計算を行います。
亡くなった人のものだったと判断される財産はすべて“遺産”となります。
注意して頂きたいのは、“判断される”というところ。
表面的な名義等ではなく、
“そもそも誰が稼いだお金によるのですか”というところを確認されるのです。
■税務署が最もチェックする「名義預金」
注意しなければいけないのが残された妻や子供の名義になっている銀行預金なども
相続税の対象となる場合があることです。
“名義が違うだけで、中身は亡くなった人のものだよ”というような預金を
名義預金といいます。
名義預金は遺産隠しに利用されることがあるので、税務署がチェックするものです。
名義ではなく内容を見られると説明しましたが、通帳名義が妻の名前になっていても
そこに入っている預金の出所がどこかを確認されるのです。
例えば、収入のない専業主婦が、生前のご主人の賞与を「これは将来のために貯金しておこう」と
自分名義(妻名義)の銀行口座に入金したとします。ご主人が亡くなり、それがそのまま残っていたら、
遺産として相続税の申告対象としなければなりません。
「主人の名義じゃないから遺産じゃないよね?」ではないのです。
■コツコツ貯めた「へそくり」が結局、夫の遺産!?
では、専業主婦が節約して貯めた“へそくり”はどうでしょう?
へそくりの金額にもよるのですが、夫婦生活の年数からみて想定を逸脱したような金額(何百万何千万)であれば、夫の遺産として課税対象となってしまうでしょう。
ご主人が稼いできたお金が貯金として残っているにすぎないと判断されるからです。
ですので、専業主婦の場合は、「あなたが稼いだお金はない(収入がないでしょう)。
つまり、このへそくりはご主人の稼いだお金が貯蓄として残っているにすぎないので、
ご主人の遺産であり相続税の対象です」と言われるのです。
■でも、配偶者は特別扱いなのでご安心を…
相続税の計算上、配偶者はかなりの特別扱いをされます。
遺産の半分、あるいは1億6千万までのどちらかまでは相続税がかかりません。
ここで、夫が残した遺産の半分は、
妻の功績によるので税金をかけないという思考がみてとれます。
つまり、相続の時には多くの場合、夫の遺産をもらっても税金はかからないわけなので、
奥様名義であってもちゃんと遺産に含めて相続税の計算を行い、名実共に自分のものにしましょう。
「そんなに待てない!」という方は、年間110万までは贈与税がかかりませんので
贈与契約書を作成して夫から贈与をしてもらいましょう。
いかがでしたか?
今回は、夫婦のお金のやりとりと相続税について、注意しておいたほうがいいことについて、お伝えしました。万が一のとこに困らないように、一度、夫婦で相談してみてくださいね。
平成27年5月に
http://mmmedia.jp/2015/05/22/119409/
こちらのサイトに書かせて頂いたコラム記事です。
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