間違いやすい!事業所兼居住用物件を借りるときの礼金の会計処理

室内でできるような事業を始められる場合、居住用のワンルームなどを借りて
始められる場合も多いです。
事業でも使う事業用兼居住用物件を借りた場合には色々とやり取りがあります。

借りるときお金 礼金や敷金は経費?

賃貸の時に支払う 「礼金」や「敷金」の会計処理はどうしたらいいのでしょう?
関西と関東で名称が違うようですが
名称によらず「退去の時に帰ってくるものかどうか」で会計処理が異なります。

「敷金」は保証金のようなもので基本的には退去時に全額返金されます。
なので、支払った「敷金」は 経費にならず(地代家賃や支払手数料などで処理をしない)
「差入保証金」「敷金」などの科目で 資産にあげておく必要があります。

退去の時に返ってこないお金 礼金は?

一方、「礼金」は戻ってこないお金です。
よって、支払った時に全額を経費にしていいのかというとそうではありません。
礼金は「繰延資産」と 税法では決まっていますのでいったん資産に計上して 5年間に渡り
毎年 償却をしていくことになります。

事業専用に借りた場合の20万円未満の礼金の扱いは別

ただし、その礼金の額が 20万円未満の場合は一気に経費にしていいよ ということになっていますので
資産にあげずに「地代家賃」と経費処理して差し支えありません。

事業用兼居住用物件の場合 按分?

事業用兼居住用物件の場合、この礼金の処理はどうなるでしょう?
例えば、明確な判断で 事業用利用割合が3割となった場合で礼金が25万としましょう。
経費になるのは 事業用割合の3割をかけた75,000円(25万 × 3割)
資産に計上せずに「地代家賃」として一気に経費にしていいのは
20万以下の 75,000円だから 一気に経費にしてもいいのでしょうか??

いえいえ、この75,000円はあくまでも 事業用経費を算出した計算結果に過ぎません。
「礼金」は 繰延資産に該当し、資産として計上しなさいよ
というのが 税法で決まっています。
これが大前提。
経費に該当する部分は 20万以下だからOKなのではなく
実際に支出したのは25万と20万を越えています。
それであるならば 繰延資産として認識しなければなりません。

事業用兼居住用物件の具体的な会計処理方法

事業用兼居住用物件の場合はまず総額が20万以下かどうかで判断し
20万を超えていた場合は
繰延資産として減価償却した繰延資産償却費に事業割合の3割をかけて
経費に計上する金額を算出するのです。

例(1月入居の場合)
礼金250,000× 1/5 = 50,000円(繰延資産償却費)

50,000円 ×30%(事業用割合) = 15,000円

15,000円が経費計上ということになります。

間違っている方が多いので注意しましょう。
こういう判断が税法的思考の有無なのかなぁと思います。
税法的な思考とはその法文の成り立ちを理解しまずもって原則を押さえて 判断するということです。

※この記事は、投稿日現在の状況、法律等に基づいて書いていますことご了承ください。









京都市左京区に事務所を構える女性税理士、
関与先と共に歩む武田美都子税理士事務所にお任せください。

事業者の悩み相談室として
所長が事業主と向き合う事務所にこだわり、必ず有資格者である税理士がお伺いし対応させていただいております。

相続の御相談 相続税・相続対策
相続は事前の対策が大事です。介護や著名な血族の相続争いも経験した税理士が親身になって御相談にのります。

セミナー講師・執筆・原稿
楽しくわかりやすい講演、聞きにこられる方の満足度が高いのが好評で、各方面からの依頼をいただいております。