融資はこうやって借りるべき 銀行の攻略 金融機関は決算書のここをみる

納税通信という週刊誌に
「銀行員が伝授! 金融機関は決算書のココを見る」という題で
2017年12月から毎週連載させていただきました。
納税通信さんにも許可をいただきましたので 原案をこのブログでも記載させていただきます。
読者の方からとても好評だったようで(この記事を読んで購読申込もあったそうです)
今は月1回の連載をさせていただいています。

第一回 情の通じなくなった金融機関への決算書で真っ向勝負

初めまして。税理士の武田です。
今回からは元銀行員である私が「金融機関は決算書のどこを見ているか」
について紹介させていただきます。

必要な時にスムーズに金融機関から融資を受けられるようにするには
普段からどうしておいたらいいのか。これから数回にわたりお話させていただきます。

シビアになった金融機関

昔は「一行取引先だから」(当座預金や融資など〇〇銀行しか取引していない会社)とか
「長い付き合いだから」「老舗だから」といった気持ちの部分も「
融資をするかしないか」を判断する際に考慮されていました。
なので「銀行員とは仲良くしておきましょう」とか
「お付き合いで積み立てとかしておかれては」というようなことがあったのですが、
平成14年に金融庁がガイドラインを発表して以来、融資の格付けが行われるようになり、
情は通じなくなりました。

融資を申し込んだ会社は
①正常先②要注意先(要注意先  要管理先)③破綻懸念先④実質破綻先⑤破綻先の5つのランクのどれかに分類され融資実行の有無(お金を貸してくれるか貸してくれないか)や融資条件を決定されることになりました。
金融機関は、融資先のランク付けに応じて引当金を積まなければいけなくなりました。
ランクが悪い会社に融資を行っていると
引当金を沢山積む必要があり、銀行の体力を失わせ
ひいては銀行自身の破綻につながります。
よって、銀行は、破綻懸念先以降に該当する先に対する融資を避けます。

つまり、実質破綻先や破綻先にランクインしてしまうと融資を受けられなかったのです。

金融庁のガイドラインの改訂で少しは変わる?

金融機関は監督官庁である金融庁の監査を定期的に受けることになっていますし、
金融庁の意向をすぐに取り入れる立場です。
毎年、金融庁と金融機関トップとの会合があり
そこで金融庁の指針が発表されます。
金融機関は金融庁の考えをくみ取り、融資判断に反映させます。
なので、融資を受ける側も金融庁のガイドラインの改訂は気にしておかれるといいでしょう。

平成26年9月にも
「現時点での財務データーや担保・保障にとらわれず事業性評価をみましょう」という融資に対しての新たな考えが発表されています。
これは、成長力があるのに現時点での決算書の内容があまりよくないために、
融資を受けることができず事業を遂行できなくなることを避けなさいという方針です。
平成27年7月発行の「円滑な資金供給の促進にむけて」という金融庁のパンフレットで
も事業性評価に基づく融資を促していますので、金融機関に対してもそのような指示が行われています。

あなたの会社の信用度を伝えるのは決算書しかない

「ガイドライン改訂によって、決算書のデーターだけでなく事業性など話も含めて考えてもらえるように戻るのだ」「多少。決算の内容が悪くても大丈夫」と思われた方もおられるかもしれません。
確かに、決算書の数字だけではなく
事業内容や成長可能性等も評価して融資を行っていくことになるかもしれません。
しかし、金融機関の融資は「自分のところのお金を貸して利息をつけて返してもらう」というシンプルな行為であります。お金を貸す側の興味は「貸したお金がちゃんと返ってくるか。利息も払えるか」の1点につきます。

そのためまずはこの「貸したお金がちゃんと返ってくるか」を見られることになります。それを伝えるのは「決算書」です。事業性評価の判断はあくまでもオプションにすぎず基本はやはり決算書データーから財務内容をみるというのが現場の対応です。

金融機関に誤解されるような決算書になっていないか
次回は具体的に融資を受けやすい決算書について紹介していきたいと思います。

 

納税通信 2017年12月4日号 第3500号に掲載された
連載記事です。「金融機関は決算書のココを見る」という題で
エヌピー通信社の「納税通信」にて 延長連載計11回させていただきました。

 

※この記事は、投稿日現在の状況、法律等に基づいて書いていますことご了承ください。

 









京都市左京区に事務所を構える女性税理士、
関与先と共に歩む武田美都子税理士事務所にお任せください。

事業者の悩み相談室として
所長が事業主と向き合う事務所にこだわり、必ず有資格者である税理士がお伺いし対応させていただいております。

相続の御相談 相続税・相続対策
相続は事前の対策が大事です。介護や著名な血族の相続争いも経験した税理士が親身になって御相談にのります。

セミナー講師・執筆・原稿
楽しくわかりやすい講演、聞きにこられる方の満足度が高いのが好評で、各方面からの依頼をいただいております。